世界ハッスル計画

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「コンプレックス文化論」あってよかったコンプレックス

 

小さなことにクヨクヨしたっていいじゃない!「ポジティブ」に疲れたあなたに必見! 

コンプレックス文化論

コンプレックス文化論

 

こんにちは。ジョおです。
今日は武田砂鉄さんの「コンプレックス文化論」を紹介します。 


きっと誰もがひとつは抱えるコンプレックス。
この本はそんな「小さな」コンプレックスをしつこくしつこく、とてもしつこく探求し、それにくよくよと悩み続けた人々を取り上げています。
決してポジティブではありませんが、ネガティブでもない不思議なコンプレックスとの付き合い方を教えてくれる不思議な一冊です。

みんなくよくよ悩んでた

この本ではまず、ハゲ・背が低い・一重・下戸など様々なコンプレックスを取り上げ、それをしつこく追求します。そこで挙げられる例は容赦なく、救いがありません。


第1章の『天然パーマ』にはこんなyahoo知恵袋の問いが載せられています

「天然パーマの人で縮毛矯正していない人がいますが、なぜ矯正しないのでしょうか? ...(中略)... せっかく外食しに行ったのに、となりの席に天然パーマの方がいたらガッカリしますよね。」

親を天パにでも食われたのでしょうか?質問者の天パへの恨みが伝わってきます。
生まれつき髪の毛がチリチリしているというだけで、社会からの冷たい視線はさけられないのです。

そして、この罪悪感や劣等感は中々消し去ることができません。
第10章の『ハゲ』では、戦後の日本人に「古い価値観をはぎ取れ、堕落せよ」と説いた作家の坂口安吾のこんな行動が紹介されています。

女性から先に言われるのが嫌だから、坂口は挨拶がわりに「キミ、キミ、僕はもうハゲました。ホラ、この通り」と先に言うんです

坂口のような偉人ですら、ハゲは恥ずかしいという価値観を剥ぎ取ることができなかったのです。

この本は、コンプレックスは「くよくよ悩んで」当然なのだということを教えてくれます。
それだけはありません。コンプレックスはその人にしかない生き方を生み出すとも言うのです。

コンプレックスがもたらす独特な生存戦略

動物は置かれた環境や身につけた能力を用いて独特の生存戦略を身につけます。
例えば、アメリカ大陸に住むネズミに似た動物、オポッサムは敵を見ると死んだふりをします。中にはふりだけではなく、死臭を放つものまでいるそうです。
自分が非力であるという自然界では致命的なコンプレックスと向き合ったがゆえの生存戦略でしょう。
↓オポッサムの死んだふり(かなりかわいい)

www.youtube.com


これはコンプレックスを持つ人間も同じなのだということが、当書のインタビューを読むとよくわかります。

なぜかいつも遅刻するという、遅刻癖コンプレックスを持つデザイナー安齋肇はこう語ります。

「最近は、正確な遅刻情報を相手に届けますからね。...中略...ばーっと計算するんですよ。着替えるのにこれぐらい、タクシー捕まえて・・・と計算していく。パンクバンドのリハの時に、「46分遅れます」ってメールして、本当に46分後に来たって感動してもらえたんですよ。」

怪我の功名とはこのことでしょう。遅刻癖の結果、時間の計算が誰よりも正確になったというのです。
なら、遅刻するなというツッコミはあまりにも野暮。これは遅刻癖そのままで生き抜くための生存戦略であり、あくまでも遅刻を前提として、それでも最善を尽くすための能力なのでしょう。

ほかにも当書では様々な戦略が紹介されていますので、ぜひ読んでみてください。

みなさんの生存戦略は?

コンプレックスには救いがありません。
ですが、そこでくよくよ悩むことでしか、引きずり続けることでしか生み出すことのできない生き方があり、言葉があると著者はいいます。

そして確かに、こうして生まれた文化はなんだかんだ面白のではないでしょうか?